Nature ハイライト
化学:構造がはっきりしている複雑分子のアセンブリーライン合成
Nature 513, 7517
生物系は、流れ作業で分子を組み立てていくような精巧な有機合成装置を進化させてきた。化学の分野ではこれまで、こうしたやり方を模倣してペプチドやオリゴヌクレオチドを合成し、単純なアミド(C–N)結合やリン酸(P–O)結合を作り出すことしかできていない。今回、自然の合成系を模倣し、試薬で制御されるボロン酸エステルの繰り返し増炭反応を用いて、分子のアセンブリーラインが構築された。この反応過程では、トリイソプロピル安息香酸α-リチオエチルの反応性を利用して、高い忠実度と立体制御性で炭素–ホウ素結合が次々と挿入され、炭素鎖が伸長される。各鎖伸長段階で新しいボロン酸エステルが生じ、これはさらなる増炭反応にすぐに使うことができる。この方法を用いて、立体化学的特徴があらかじめ決められているメチル基が連続して10個含まれる有機分子が数種類合成された。今回の研究は、形状が前もって予測された複雑分子の合理的な設計と合成への一歩である。
2014年9月11日号の Nature ハイライト
化学:構造がはっきりしている複雑分子のアセンブリーライン合成
神経科学:世界を理解する仕組み
がん:胃腺がんを4つに分類する
宇宙:クエーサーのばらつきの原因
材料:単層二硫化タングステンにおける励起子過程
大気科学:大気中のヒドロキシルラジカルの南北分布
環境:道路建設のロードマップ
植物科学:植物での気孔形成の制御
構造生物学:TARBP2は転移抑制タンパク質を不安定化する
構造生物学:光化学系IIの構造のX線を使って得られたスナップショット