Nature ハイライト
細胞生物学:重要な細菌呼吸鎖酵素
Nature 516, 7529
ナトリウム輸送型NADH-キノン酸化還元酵素(Na+-NQR)は、コレラ菌(Vibrio cholerae)のような病原体も含まれる多様な細菌で呼吸鎖に存在する膜タンパク質複合体である。この複合体はミトコンドリアの複合体Iと似ているが、相同ではない。J Steuberたちは、コレラ菌由来のこの酵素の3.5 Å分解能でのX線結晶構造を、そのサブユニットであるNqrA、NqrCおよびNqrFの高分解能構造とともに明らかにしている。Na+-NQRは、補因子のFADと[2Fe-2S]クラスターを1個ずつ、共役結合した補因子のフラビンモノヌクレオチドを2個、やはり補因子であるリボフラビンとユビキノンを1個ずつ含んでいる。構造解析から、NqrB中のフラビンモノヌクレオチド補因子の酸化還元状態の変化が、NqrBサブユニットのチャネルを通るNa+輸送が起こるのに重要であることが示唆された。この構造は新規な抗生物質開発の基盤となりそうだ。
2014年12月4日号の Nature ハイライト
神経科学:うつ病におけるβカテニンの役割
幹細胞:多能性細胞に見られる遺伝子発現の多様性
細胞生物学:重要な細菌呼吸鎖酵素
宇宙物理学:星形成の自己制限的な性質
超伝導:YBa2Cu3O6+x超伝導体の構造
材料科学:変形できるエネルギー貯蔵用材料
行動経済学:銀行員を信じられるとき
植物科学:オーキシンが植物の細胞骨格に作用する仕組み
微生物学:頼りになる腸内ウイルス
細胞生物学:核内受容体によるオートファジーの制御