Nature ハイライト

生態:ライチョウの寄生虫はお天気しだい

Nature 433, 7027

気候はライチョウの主要な寄生虫の1つの生活環に影響を及ぼしており、それがライチョウ個体群への影響につながっているとする報告がなされた。気候パターンが異なると、ライチョウの消化管への寄生虫(小さい線虫類)の感染状況が異なってきて、それが近くに生息するライチョウ個体群を同時に増大させたり縮小させたりするというのだ。 I M Cattadoriたちは、1839〜1994年の英国のライチョウ狩猟場で得られた個体群記録を調べた。そして、近隣のアカライチョウの個体群が一斉に縮小または増大する期間があることを見つけた。 複数の個体群が足並みを揃えて個体数を変化させる原因は何なのだろうか。著者たちは数理モデルを使って、こうした個体群のふるまいが、消化管にすみつく寄生虫Trichostrongylus tenuisの個体数に左右されること、そして寄生虫の個体数は天候に左右されることを示した。5月が乾燥して暖かく、そのあとの7月がじめじめして寒いと、寄生虫はすっかり死んでしまいライチョウは個体数を増やすが、逆に5月がじめじめして7月が暖かいと、ライチョウが餌をついばむ野原で寄生虫が大量に発生してしまうのだ。

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