Nature ハイライト
分子進化学:DNAの挿入を阻止するための戦い
Nature 516, 7530
霊長類のゲノムは、レトロトランスポゾンの挿入に何度も直面しながら、挿入の防止や挿入された配列の転写の阻止に努めて、これまで持ちこたえてきた。マウスの胚性幹細胞では、この転写抑制にKRABジンクフィンガー(KZNF)タンパク質が関与している。KZNF遺伝子は霊長類で最も急激に成長した遺伝子ファミリーの1つであり、霊長類が新たに出現したレトロトランスポゾンに対処できるのは、このファミリーの拡大によっていると考えられてきた。今回、この仮説を裏付ける証拠が報告された。霊長類に特異的な2種類のKZNF遺伝子ZNF91とZNF93が、この2500万年の間に出現した別々のレトロトランスポゾンファミリーを抑制するために進化してきたことが明らかになったのである。この新しいデータによれば、KZNF遺伝子が拡充して、新たに出現したレトロトランスポゾンの活動を制限すると、次にレトロトランスポゾンの方が変異して抑制から逃れるらしい。
2014年12月11日号の Nature ハイライト
幹細胞:誘導された多能性の違いを読み取る
構造生物学:塩素イオンチャネルの構造
惑星科学:太陽類似星ができるには時間がかかる
技術:クモをまねたひずみセンサーの登場
材料科学:プロトンはグラフェンをあっさり通る
古生物学:陡山沱の微化石の謎
分子進化学:DNAの挿入を阻止するための戦い
細胞生物学:MapZが細胞分裂タンパク質FtsZを導く
細胞生物学:生細胞でのヒストン修飾