Nature ハイライト
構造生物学:グルタミン酸輸送体の機構
Nature 518, 7537
今回、単一分子蛍光共鳴エネルギー移動(smFRET)画像化法、X線結晶学および分子動態シミュレーションを用いて、古細菌の1種であるPyrococcus horikoshiiのアスパラギン酸輸送体GltPhの動態および、2個の変異を導入したGltPh変異体の動態が明らかにされた。この変異体は基質への親和性は低下しているが、基質の輸送速度は上昇している。GltPhは、グルタミン酸輸送体のホモログで、グルタミン酸輸送体はヒトでは脳のシナプス内で神経伝達物質を低濃度に維持することによって、神経伝達に重要な役割を担っている。今回2個の変異が導入されたことにより、GltPhはヒトのグルタミン酸輸送体と似た作用を示すようになった。構造から、GltPhの異なる複数の輸送ドメインと足場ドメインの間の界面の開放状態(外向き状態と内向き状態間の移行に関連する)が、基質輸送速度に直接相関することが明らかになった。
2015年2月5日号の Nature ハイライト
気候科学:鮮新–更新世の気候感度
生物工学:より安全なGMOを作るための2つのルート
細胞生物学:SNAREタンパク質の回収機構
構造生物学:グルタミン酸輸送体の機構
有機化学:C–H結合をC–Si結合に変換
地震学:テクトニックプレート下の断面画像
生態学:変化に対するサンゴ礁の適応
細胞生物学:細胞小器官を光で手軽に操作する
生化学:硫黄を含む生体分子の生合成