Nature ハイライト

生化学:硫黄を含む生体分子の生合成

Nature 518, 7537

天然物、つまり二次代謝産物中に見つかる硫黄原子が生合成の際にどこから取り込まれるのかはよく分かっていない。マイコチオール(MSH)はグラム陽性放線菌で見られるシステイニル含有疑似二糖で、このチオール含有化合物が求電子性の毒素と結合することで、毒素の細菌細胞からの放出が促進される。放線菌は、また別のチオールであるエルゴチオネイン(EGT)も産生しており、これは機能が不明のヒスチジンベタイン誘導体である。今回、MSHとEGTがリンコマイシンAの生合成で重要な役割を担っていることが示された。硫黄を含む抗生物質であるリンコマイシンAは、重篤なグラム陽性細菌感染で、ペニシリン系抗生物質による治療を受けられない場合の治療に用いられている。

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