Nature ハイライト
生態学:変化に対するサンゴ礁の適応
Nature 518, 7537
サンゴ礁が損傷すると、その生態系が根本的に変化して新しい安定状態に達する場合がある。この過程は「レジームシフト」として知られ、全球規模で発生している。多様性が極めて高かったサンゴ礁で、サンゴの代わりに大型藻類が優占するようになり、その結果、動物の多様性やおそらくは生態系サービスまでもが失われてしまうのである。しかし、こうしたレジームシフトは必ず起こるわけではなく、撹乱されたサンゴ礁がサンゴ優占の状態を回復させる場合もある。N Grahamたちは今回、インド太平洋の撹乱されたサンゴ礁21か所の長期的データを用いて、サンゴ礁で回復またはレジームシフトのいずれかを起こしやすくする因子について調べた。この自然実験によって、構造的複雑性や水深、魚類密度など、極端な気象的事象に対するサンゴ礁の応答を予測する指標の閾値が明らかになった。この成果は、海洋の生物多様性に対する最大級の脅威についての我々の理解を深めるとともに、気候変動が熱帯のサンゴ礁に及ぼす影響を緩和するための先制措置を可能にすると考えられる。
2015年2月5日号の Nature ハイライト
気候科学:鮮新–更新世の気候感度
生物工学:より安全なGMOを作るための2つのルート
細胞生物学:SNAREタンパク質の回収機構
構造生物学:グルタミン酸輸送体の機構
有機化学:C–H結合をC–Si結合に変換
地震学:テクトニックプレート下の断面画像
生態学:変化に対するサンゴ礁の適応
細胞生物学:細胞小器官を光で手軽に操作する
生化学:硫黄を含む生体分子の生合成