Nature ハイライト

量子情報科学:後戻りできない

Nature 434, 7030

今週号には「クラスター状態」、そしてクラスター状態の量子計算を初めて実現した結果が報告されている。これは、2001年に最初に提案された量子計算に替わる方法について、理論から現実への大きな進展があったことを示すものだ。 A Zeilingerたちは、多数の粒子からなる高度にもつれ合ったクラスターを利用して量子計算を行うというラウゼンドルフとブリーゲルのアイデアに基づき、もつれ合った光子からクラスター状態を作り出して、特定の計算課題を実行できることを実証した。もつれ合った光子を使うことで、あらかじめ計算機に情報を符号化して、量子論理回路をその状態に埋め込むことが可能となる。そのもつれ合いは破壊されるので、この過程は不可逆になる。そのため、このような計算機は「一方向量子計算」と名付けられている。 今回の結果により量子物理に対する我々の考え方は大きく変わり、量子計算の実験について刺激的な可能性が多く見えてくる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度