Nature ハイライト 量子情報科学:後戻りできない 2005年3月10日 Nature 434, 7030 今週号には「クラスター状態」、そしてクラスター状態の量子計算を初めて実現した結果が報告されている。これは、2001年に最初に提案された量子計算に替わる方法について、理論から現実への大きな進展があったことを示すものだ。A Zeilingerたちは、多数の粒子からなる高度にもつれ合ったクラスターを利用して量子計算を行うというラウゼンドルフとブリーゲルのアイデアに基づき、もつれ合った光子からクラスター状態を作り出して、特定の計算課題を実行できることを実証した。もつれ合った光子を使うことで、あらかじめ計算機に情報を符号化して、量子論理回路をその状態に埋め込むことが可能となる。そのもつれ合いは破壊されるので、この過程は不可逆になる。そのため、このような計算機は「一方向量子計算」と名付けられている。今回の結果により量子物理に対する我々の考え方は大きく変わり、量子計算の実験について刺激的な可能性が多く見えてくる。 2005年3月10日号の Nature ハイライト 量子情報科学:後戻りできない 味覚:苦味の知覚に迫る味な研究 植物科学:植物の根から滲み出る防御化合物 生殖:受精にかかわる重要な因子の発見 化学:水の記憶は迅速に失われる 宇宙:星はどこまで大きくなれる? : 目次へ戻る