Nature ハイライト 植物科学:植物の根から滲み出る防御化合物 2005年3月10日 Nature 434, 7030 植物は通常、病原体となりうるものの大半に抵抗力をもつ。しかし場合によっては、微生物との相互作用が、有益な栄養素を植物にもたらす場合もある。では、微生物はどのようにして植物の防御機構に打ち勝つのだろうか。今週号に掲載された論文は、この機構に関する新たな手がかりを与えてくれる。J Vivancoたちによれば、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の根からは、抗菌性の代謝産物が滲み出ている。しかし、一部の微生物はこのような代謝産物への対抗策を編み出している。Vivancoたちは今回、Pseudomonas syringaeの変種の1つがこのような化合物に打ち勝って根に感染できることを見出した。同じ菌でも別の変種はシロイヌナズナが分泌する抗菌物質にかなわないのだが、この変種は抗菌性化合物の滲出を阻害する。今回の発見は、作物病害に対処するもっと有効な方法を考案したり、有益な微生物が植物の根と密接にかかわって生活する仕組みの解明を進めたりする助けとなりそうだ。 2005年3月10日号の Nature ハイライト 量子情報科学:後戻りできない 味覚:苦味の知覚に迫る味な研究 植物科学:植物の根から滲み出る防御化合物 生殖:受精にかかわる重要な因子の発見 化学:水の記憶は迅速に失われる 宇宙:星はどこまで大きくなれる? : 目次へ戻る