Nature ハイライト

構造生物学:F型ATP合成酵素aサブユニットの構造

Nature 521, 7551

F型ATP合成酵素は細菌の細胞膜やミトコンドリア内膜、葉緑体のチラコイド膜に存在する分子機械で、プロトン勾配を使ってATP合成を駆動する。今回、緑藻のPolytomella sp.から得られた約1.6 MDaのミトコンドリアATP合成酵素二量体の高分解能低温電子顕微鏡構造が報告された。この構造から、C末端に4本の長いαヘリックスの束があって、これらは脂質二重層にほぼ完全に埋め込まれており、意外なことにcリングと呼ばれる回転子とほぼ直角となるように配置されていることが分かった。著者たちは、このタンパク質と界面活性剤との複合体中に2個の親水性の空洞があることを突き止めた。これらは、以前からその存在が予想されていたプロトン輸送用の半チャネルである可能性がある。

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