Nature ハイライト

構造生物学:酵母V型ATPアーゼの回転状態

Nature 521, 7551

真核生物V型ATPアーゼの主な回転状態のうちの3つの構造が低温電子顕微鏡法を使って決定され、回転による触媒作用の際に起こるコンホメーション変化に関する最初の手掛かりが得られた。V型ATPアーゼは、ATPの加水分解により放出されるエネルギーを使って、脂質二重層を横切るプロトン輸送を行う回転型の酵素で、この性質によって多数の細胞内区画のpHを制御している。出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)から得られた酵素の3つの構造から、複数の大規模なコンホメーション変化が明らかになり、これによってこのATPアーゼの触媒に関わる親水性部分中での回転を、膜に結合しているプロトン輸送領域に連結する仕組みが説明された。またこれらの構造から、aサブユニット中にある2つの長くて大きく傾いている膜貫通αヘリックスがcリングと相互作用していることも明らかになった。

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