Nature ハイライト
構造生物学:酵母V型ATPアーゼの回転状態
Nature 521, 7551
真核生物V型ATPアーゼの主な回転状態のうちの3つの構造が低温電子顕微鏡法を使って決定され、回転による触媒作用の際に起こるコンホメーション変化に関する最初の手掛かりが得られた。V型ATPアーゼは、ATPの加水分解により放出されるエネルギーを使って、脂質二重層を横切るプロトン輸送を行う回転型の酵素で、この性質によって多数の細胞内区画のpHを制御している。出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)から得られた酵素の3つの構造から、複数の大規模なコンホメーション変化が明らかになり、これによってこのATPアーゼの触媒に関わる親水性部分中での回転を、膜に結合しているプロトン輸送領域に連結する仕組みが説明された。またこれらの構造から、aサブユニット中にある2つの長くて大きく傾いている膜貫通αヘリックスがcリングと相互作用していることも明らかになった。
2015年5月14日号の Nature ハイライト
進化:真核生物の性質を備えた古細菌
神経科学:飢餓と口渇に対する混合した応答
神経科学:昆虫は自分の位置をどのように知るか
宇宙物理学:星形成はガスの流入が遮断されて止まる
超伝導:謎めいた電子対
量子物理学:自由電子の量子制御
植物科学:MAPKを活性化するもう1つの方法
発生生物学:YAPタンパク質が組織に形態を与える
分子生物学:Xistの遺伝子サイレンシング機構
構造生物学:F型ATP合成酵素aサブユニットの構造
構造生物学:酵母V型ATPアーゼの回転状態