Nature ハイライト
がん:転移部位への道を開くのはLOX
Nature 522, 7554
腫瘍の中には肺や骨といった特定の組織に転移するものがあるが、多くの場合その理由は不明である。J Erlerたちは今回、乳がんの一部の骨転移は、転移する腫瘍細胞が産生する酵素のリシルオキシダーゼ(LOX)によって駆動されることを明らかにした。LOXは、骨吸収に関わる破骨細胞の形成促進により、骨を傷害する。この損傷部分が血液中を循環する乳がん細胞の着地点となって、がん細胞はそこから増殖して転移巣を作る。従って、LOXの阻害は骨転移を防ぐ方法になる可能性があり、また腫瘍でのLOX発現は、腫瘍の骨転移を起こす傾向を示すバイオマーカーとして使えるかもしれない。
2015年6月4日号の Nature ハイライト
神経科学:ナビゲーションの際の意思決定
発生生物学:胚でのリンパ管の起源
高エネルギー物理学: B中間子からμ粒子へのまれな崩壊の観測
地球物理学:グリーンランドの氷河上湖で排水が起こるわけ
古生物学:節足動物の肢の進化
生物海洋学:植物プランクトンと海洋細菌の相互作用
ウイルス学:中国でのH7N9インフルエンザウイルスの進化と広がり
がん:転移部位への道を開くのはLOX
分子生物学:eIF3が持つ独特の機能