Nature ハイライト
分子生物学:eIF3が持つ独特の機能
Nature 522, 7554
真核細胞開始因子3(eIF3)は一般的な開始因子と考えられてきたが、その調節不全は組織特異的な影響をもたらす。今回J Cateたちは、PAR-CLIP全トランスクリプトーム解析を用いて、eIF3が主に細胞増殖、分化およびアポトーシスに関連する一部のメッセンジャーRNA(mRNA)のみの翻訳に必要であり、翻訳を活性化あるいは抑制できることを明らかにした。eIF3の脱調節はある種のがんに関連するとされており、eIF3が特定のレパートリーの遺伝子の発現を制御するという知見は、特定のmRNAに対するeIF3の結合の抑制が有望な抗がん戦略となり得ることを示唆している。
2015年6月4日号の Nature ハイライト
神経科学:ナビゲーションの際の意思決定
発生生物学:胚でのリンパ管の起源
高エネルギー物理学: B中間子からμ粒子へのまれな崩壊の観測
地球物理学:グリーンランドの氷河上湖で排水が起こるわけ
古生物学:節足動物の肢の進化
生物海洋学:植物プランクトンと海洋細菌の相互作用
ウイルス学:中国でのH7N9インフルエンザウイルスの進化と広がり
がん:転移部位への道を開くのはLOX
分子生物学:eIF3が持つ独特の機能