Nature ハイライト
遺伝学:タンパク質FTOの働きのストレスによる調節
Nature 526, 7574
N6-メチルアデノシン(m6A)塩基修飾のmRNAに沿った分布は一様ではなく、5′非翻訳領域(5′UTR)では他の領域に比べてm6Aが少ない。今回S Qianたちは、熱ショックのようなストレスを受けると、ストレスにより誘導されたmRNAの主に5′UTRにm6A修飾が蓄積し、これがm6Aと相互作用するタンパク質であるYTHDF2の核内移行により引き起こされることを見いだした。YTHDF2はm6Aを「消去するタンパク質(eraser)」であるFTOの作用を遮断するので、その結果としてこのようなmRNAのキャップ非依存性翻訳が増加する。この過程はストレス応答性遺伝子が優先的に発現できるようになる機構の1つであるのかもしれない。
2015年10月22日号の Nature ハイライト
がん:慢性リンパ性白血病のドライバー遺伝子
がん:慢性リンパ性白血病で発現する遺伝子群
微生物学:微生物が連携するための新しい機構
構造生物学:光に依存した遺伝子調節に関する新しい手掛かり
太陽系外惑星:消えかかった白色矮星の周りを回る崩壊しつつある惑星
流体力学:乱流の見取り図
量子物理学:量子カオス励起子ポラリトン系における非エルミート動力学
進化学:鳥類系統の見直し
生態学:生物多様性の喪失が生態系の安定性を脅かす
遺伝学:タンパク質FTOの働きのストレスによる調節