Nature ハイライト

Cover Story:骨を詳細に調べる:X線小角散乱法とコンピュータートモグラフィー法の併用による硬組織の可視化

Nature 527, 7578

ヒト海綿骨試料内で画像化された超微細構造とコラーゲン細繊維の配向。試料のサイズは長さ約2.5 mm。
ヒト海綿骨試料内で画像化された超微細構造とコラーゲン細繊維の配向。試料のサイズは長さ約2.5 mm。 | 拡大する

Credit: Paul Scherrer Institute/Marianne Liebi

表紙は、ヒト海綿骨試料中の超微細構造とコラーゲン細繊維の配向の三次元X線小角散乱法(SAXS)による画像である。SAXSは、ナノスケールから巨視的スケールに至る広範な長さスケールにわたる構造秩序を調べることが、原理的には可能である。しかし、ナノ構造の配向情報を失わずに三次元画像を得る実験方法や解析方式には、まだ手が届いていなかった。今週号の2つの論文では、異なるトモグラフィー原理とSAXSを組み合わせて、こうした情報が得られている。M Liebiたちは、SAXSデータを記述できる広く適用可能なモデルを導入し、今回調べられたヒト海綿骨中のコラーゲン細繊維で起こりやすい配向など、対象となる多数の試料に固有の対称性をどのように考慮すれば、処理過程をもっと扱いやすくできるかを示している。F Schaffたちが実証した実験過程では、仮想的なトモグラフィー軸の概念が導入されていて、これによって膨大な量のデータの配列が可能になり、各逆空間成分をそれぞれ独立させて直接再構築できるようになった。Schaffたちの例では、ヒトの歯に含まれる石灰化コラーゲンの配向と散乱強度を数ミリメートルにわたって空間的に分解した結果が示されている。

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