Nature ハイライト
Cover Story:骨を詳細に調べる:X線小角散乱法とコンピュータートモグラフィー法の併用による硬組織の可視化
Nature 527, 7578
表紙は、ヒト海綿骨試料中の超微細構造とコラーゲン細繊維の配向の三次元X線小角散乱法(SAXS)による画像である。SAXSは、ナノスケールから巨視的スケールに至る広範な長さスケールにわたる構造秩序を調べることが、原理的には可能である。しかし、ナノ構造の配向情報を失わずに三次元画像を得る実験方法や解析方式には、まだ手が届いていなかった。今週号の2つの論文では、異なるトモグラフィー原理とSAXSを組み合わせて、こうした情報が得られている。M Liebiたちは、SAXSデータを記述できる広く適用可能なモデルを導入し、今回調べられたヒト海綿骨中のコラーゲン細繊維で起こりやすい配向など、対象となる多数の試料に固有の対称性をどのように考慮すれば、処理過程をもっと扱いやすくできるかを示している。F Schaffたちが実証した実験過程では、仮想的なトモグラフィー軸の概念が導入されていて、これによって膨大な量のデータの配列が可能になり、各逆空間成分をそれぞれ独立させて直接再構築できるようになった。Schaffたちの例では、ヒトの歯に含まれる石灰化コラーゲンの配向と散乱強度を数ミリメートルにわたって空間的に分解した結果が示されている。
2015年11月19日号の Nature ハイライト
発生:ショウジョウバエでのモルフォゲンによるパターン形成
抗生物質:黄色ブドウ球菌を標的とする新しい手法
がん:転移部位の選択には腫瘍のエキソソームが関与している
構造生物学:InsP3受容体の構造
天文学:形成途中の惑星
素粒子物理学:金を衝突させて反陽子対相関を探る
材料科学:メタンを効率よく貯蔵する媒体
気候科学:海洋低酸素化の熱的なきっかけ
進化学:脊椎動物の神経堤の起源はもっと古い