Nature ハイライト
Cover Story:新しい水質浄化・改善材料:水から有機微量汚染物質をほぼ瞬時に除去するシクロデキストリンポリマー
Nature 529, 7585
表紙は、β-シクロデキストリンの高表面積多孔性ポリマーの構造を示すイラストである。水の浄化と水質改善は、さまざまな形態の活性炭を用いて行われることが多い。活性炭は安価だが、多くの有機汚染物質を部分的にしか除去しない。にもかかわらず、再利用のための活性炭の再生には、高い温度が必要なためエネルギーが大量に消費され、しかもリサイクルによって性能が低下する。今回、W Dichtel、D Helblingたちは、活性炭に代わる水質改善材料として架橋シクロデキストリンをベースとした多孔性材料を開発した。この材料は、多様な医薬品や殺虫剤などの汚染物質を吸着する点で活性炭を上回る性能を示すばかりでなく、室温で洗浄することによって容易に再生できる。
2016年1月14日号の Nature ハイライト
進化生態学:一目で分かる植物の多様性
がん:がん幹細胞のサポート機構
宇宙論:「再電離している」銀河の観測
有機化学:鉄触媒を用いたトリチウム標識法
古気候学:近い将来に新たな氷期が訪れることはなさそうだ
植物生態学:樹木の競争力に影響を及ぼす重要な形質
微生物生態学:腸内微生物相に与える食餌の影響
心血管生物学:FOXO1は血管増殖のチェックポイントの1つである
免疫学:2型免疫における上皮刷子細胞
構造生物学:ホロ非リボソームペプチドシンテターゼ