Nature ハイライト
古気候学:近い将来に新たな氷期が訪れることはなさそうだ
Nature 529, 7585
数十年にわたる研究にもかかわらず、氷期を開始させる条件はまだよく分かっていない。例えば、北半球の日射パターンが、他の氷期の開始期に伴うことが多かったパターンに似ていた近年に、地球が氷期に入らなかったのはなぜなのだろうか。今回、氷床コアの証拠から絞り込まれた中程度に複雑な気候モデルを用いて、任意の大気中CO2濃度について氷期のきっかけとなるのに必要な日射量が定量化された。その結果、例えば、後期完新世のような高いCO2濃度の条件で氷期に入るには、日射量が異常なほど小さなレベルにまで落ち込む必要があることが分かった。また、ヒトが気候システムに擾乱を及ぼさない場合には、現在の間氷期は今後数万年持続すると思われることがシミュレーションから示唆されている。ヒトは炭素を排出しているため、新たな氷期に入る可能性は今後10万年にわたってほとんどないと思われる。
2016年1月14日号の Nature ハイライト
進化生態学:一目で分かる植物の多様性
がん:がん幹細胞のサポート機構
宇宙論:「再電離している」銀河の観測
有機化学:鉄触媒を用いたトリチウム標識法
古気候学:近い将来に新たな氷期が訪れることはなさそうだ
植物生態学:樹木の競争力に影響を及ぼす重要な形質
微生物生態学:腸内微生物相に与える食餌の影響
心血管生物学:FOXO1は血管増殖のチェックポイントの1つである
免疫学:2型免疫における上皮刷子細胞
構造生物学:ホロ非リボソームペプチドシンテターゼ