Nature ハイライト 植物科学:植物の発生を調節するPIN遺伝子 2005年1月6日 Nature 433, 7021 植物ホルモンであるオーキシンは、シュートや根の成長に影響を及ぼすことがずっと以前から知られているが、パターンと成長過程を同時に制御する機構は今まで不明であった。今週号には、5つの遺伝子がひとまとまりになってオーキシンの分布とそのいろいろな影響を制御していることが報告されている。この発見は、植物の生態における細胞分裂の調節についての重要な手がかりとなる。B Scheresたちはシロイヌナズナを使って、オーキシンのパターン形成および成長に対する影響を調べた。実験の結果、オーキシン輸送装置の成分をコードしていると考えられる5つのPIN遺伝子が重要であることがわかった。もっと詳しくいうと、PIN遺伝子群は、自身の転写に関与する遺伝子と相互作用することで根の細胞の分裂および膨張を制御しているのである。植物胚における根の前駆器官の発生、ならびにオーキシンを制御する「逆流」ループに関与する遺伝子群に関するこれらの新しい知見によって、植物ホルモンが濃度のちがいによって異なる影響を及ぼすことについての解明が進みそうだ。 2005年1月6日号の Nature ハイライト 地球:地下にしまい込む 進化:シジュウカラが教える小進化のヒント 医学:抗生物質による神経の保護 電子工学:ナノスケールの機械スイッチ 植物科学:植物の発生を調節するPIN遺伝子 宇宙:爆発でできた銀河団の空洞 : 目次へ戻る