Nature ハイライト 医学:抗生物質による神経の保護 2005年1月6日 Nature 433, 7021 神経機能の喪失は、ときには致命的ともなりうる衰弱性疾患につながることがある。そのため、このような神経細胞間の連絡を促す新たな方法を見つけることが重要になる。J Rothsteinたちは、神経系の主要な興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸の輸送体に着目し、これを増産する方法を報告している。神経の機能不全を防ぐのに有望な方法となるかもしれない。今週号の報告によれば、ある種の抗生物質によって、グルタミン酸輸送体の増産が起こるという。さらに、この増産はこの抗生物質が適切な遺伝子を活性化することによって起こることもわかった。著者らはこの方法を使って、マウスでの輸送体の発現を増加させたと述べている。彼らは致死性疾患であるALS(筋萎縮性側索硬化症)の動物モデルでこの抗生物質を使うことにより神経の消失が遅くなることを実証した。今回の研究で、このような抗生物質に予想外の神経保護作用があることが明らかになった。 2005年1月6日号の Nature ハイライト 地球:地下にしまい込む 進化:シジュウカラが教える小進化のヒント 医学:抗生物質による神経の保護 電子工学:ナノスケールの機械スイッチ 植物科学:植物の発生を調節するPIN遺伝子 宇宙:爆発でできた銀河団の空洞 : 目次へ戻る