Nature ハイライト
構造生物学:E3リガーゼによるユビキチンの移動
Nature 529, 7587
タンパク質基質のユビキチン修飾は、細胞のシグナル伝達や機能の多くの局面に影響を与える。E3リガーゼはユビキチン化カスケードの最終段階に関わっていて、E2ユビキチン結合酵素からユビキチンを基質へと転移させるが、この反応ではユビキチンを直接転移させる場合と、E3リガーゼ自体が一度ユビキチンに共有結合する段階を経る場合がある。共有結合を介する機構によって作用するリガーゼの中にはRING型E3リガーゼのRBRファミリーがあり、パーキンやHOIPはこのファミリーのメンバーである。これまでに解明されたRBRファミリーE3リガーゼの構造は、どれも自己阻害されている状態についてのものだった。今回S Riedlたちは、完全に活性化したHOIP RBRがE2~ユビキチン複合体と転移複合体を形成した状態の構造を初めて報告した。この構造から、長く伸びた活性型のコンホメーションによって、E2とE3の触媒中心がユビキチンの転移に最適な並び方をするようになることなどが分かってきた。
2016年1月28日号の Nature ハイライト
生物工学:高精度の遺伝子編集
微生物学:細菌感染の際のRNA発現
宇宙物理学:星形成にあった2回目のチャンス
健康科学:プラスチックでできたウエアラブル汗成分バイオセンサー
神経科学:虚血で損なわれるTRPチャネル
幹細胞:HSCのリンパ球系細胞への分化能の維持
免疫学:制御性T細胞のFoxo1調節
免疫学:ウイルスの免疫回避機構
がん:p53がん抑制因子のウイルスによる乗っ取り
構造生物学:E3リガーゼによるユビキチンの移動