Nature ハイライト

微生物学:細菌感染の際のRNA発現

Nature 529, 7587

今回、病原体であるネズミチフス菌(Salmonella enterica serovar Typhimurium)が宿主である真核細胞に感染する際の、細菌細胞と宿主細胞の両方でのRNA発現を、「dual RNA-seq」という手法で同時にプロファイリングした研究で、細菌のリボレギュレーターの役割が明らかになった。著者たちは、ネズミチフス菌の感染過程で機能することが分かった複数の細菌性低分子RNAの1つのPinTが、侵入関連エフェクターの発現とこの病原体の細胞内での生存に必要な毒力遺伝子の発現の両方を時間的に制御すること、また、宿主のコード転写産物と非コード転写産物の両方の発現も変化させることを突き止めた。これらの知見は、病原体が感染する際に重要な、おそらく未知の戦略を明らかにするのに、このハイスループットスクリーニング法が有用であることの原理証明になる。

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