Nature ハイライト
微生物学:細菌感染の際のRNA発現
Nature 529, 7587
今回、病原体であるネズミチフス菌(Salmonella enterica serovar Typhimurium)が宿主である真核細胞に感染する際の、細菌細胞と宿主細胞の両方でのRNA発現を、「dual RNA-seq」という手法で同時にプロファイリングした研究で、細菌のリボレギュレーターの役割が明らかになった。著者たちは、ネズミチフス菌の感染過程で機能することが分かった複数の細菌性低分子RNAの1つのPinTが、侵入関連エフェクターの発現とこの病原体の細胞内での生存に必要な毒力遺伝子の発現の両方を時間的に制御すること、また、宿主のコード転写産物と非コード転写産物の両方の発現も変化させることを突き止めた。これらの知見は、病原体が感染する際に重要な、おそらく未知の戦略を明らかにするのに、このハイスループットスクリーニング法が有用であることの原理証明になる。
2016年1月28日号の Nature ハイライト
生物工学:高精度の遺伝子編集
微生物学:細菌感染の際のRNA発現
宇宙物理学:星形成にあった2回目のチャンス
健康科学:プラスチックでできたウエアラブル汗成分バイオセンサー
神経科学:虚血で損なわれるTRPチャネル
幹細胞:HSCのリンパ球系細胞への分化能の維持
免疫学:制御性T細胞のFoxo1調節
免疫学:ウイルスの免疫回避機構
がん:p53がん抑制因子のウイルスによる乗っ取り
構造生物学:E3リガーゼによるユビキチンの移動