Nature ハイライト
微生物海洋学:宿主を生かす海洋ファージ
Nature 531, 7595
溶菌性ファージは、「Kill-the-Winner」モデルが示す密度依存的な捕食動態により、宿主である微生物の個体数を制御することができる。そのため、栄養素が豊富で宿主の密度が高くなる場合には溶菌性ファージが優占し、宿主の数が減少した場合には宿主を溶菌するのではなく宿主内に組み込まれる溶原性ファージが優占する傾向があると広く考えられてきた。しかし今回、24か所のサンゴ礁のウイローム(virome;ウイルス群集のメタゲノム)の解析により、この考え方に異議が唱えられた。B Knowlesたちは、溶菌性よりも溶原性の方が重要になるのは宿主密度が低い場合ではなく高い場合であることを見いだした。著者たちは、これを「Piggyback-the-Winner」モデルと名付け、このモデルが、動物関連の系や堆積物および土壌の系といった他のさまざまな生態系の捕食者–被食者動態と一致することを示した。
2016年3月24日号の Nature ハイライト
有機化学:触媒を用いたオレフィンメタセシス反応
微生物海洋学:宿主を生かす海洋ファージ
がんゲノミクス:p53近接遺伝子群が腫瘍発生に関与する
惑星科学:月の極移動
人間行動学:正直は最善の策
人類学:旧石器時代の食物加工
進化生物学:中期更新世のスペインにいたヒト族はネアンデルタール人に近縁だった
神経科学:失われた記憶を取り戻す
がん免疫学:転移に対する最初の免疫応答
がん治療:発がん性非コードRNA
免疫学:アミノ酸欠乏による腸炎症の軽減