Nature ハイライト
人類学:旧石器時代の食物加工
Nature 531, 7595
およそ200万年前のホモ・エレクトス(Homo erectus)の出現は、それまでのどのヒト族よりも格段に小さい歯をもたらした。こうした歯の小型化は、大型動物の活動維持に必要な量の食物を処理する能力が低下することを意味する。加熱調理の発達が歯の小型化を可能にしたと言われることが多いが、加熱調理が広く見られるようになったのは約50万年前になってからである。では、加熱調理が広まるはるか前、ホモ・エレクトスが出現するまでの過程で何が起こったのだろうか。K ZinkとD Liebermanは今回、肉食や食物の簡単な加工技術が、咀嚼の労力や口内でのかみ砕きの効率に及ぼす影響について調べた。その結果、生でも非常に咀嚼しやすい肉を食餌に取り込んだことと、消化しにくいがデンプンを豊富に含み貯蔵可能な植物性素材を石器を使ってたたきつぶしたことが、咀嚼能力の違いを生んだ可能性があると示唆された。
2016年3月24日号の Nature ハイライト
有機化学:触媒を用いたオレフィンメタセシス反応
微生物海洋学:宿主を生かす海洋ファージ
がんゲノミクス:p53近接遺伝子群が腫瘍発生に関与する
惑星科学:月の極移動
人間行動学:正直は最善の策
人類学:旧石器時代の食物加工
進化生物学:中期更新世のスペインにいたヒト族はネアンデルタール人に近縁だった
神経科学:失われた記憶を取り戻す
がん免疫学:転移に対する最初の免疫応答
がん治療:発がん性非コードRNA
免疫学:アミノ酸欠乏による腸炎症の軽減