Nature ハイライト
神経科学:失われた記憶を取り戻す
Nature 531, 7595
海馬は、エピソード記憶の符号化、固定および検索に重要な役割を持ち、また、アルツハイマー病の初期段階ではこのエピソード記憶が最も早く失われる。今回、利根川進(理研-MIT神経回路遺伝学研究センター)たちが、初期アルツハイマー病のモデルであるトランスジェニックマウスで、健忘症状は、記憶の符号化の障害ではなく検索の障害によることを明らかにしている。海馬歯状回の記憶エングラム細胞を直接活性化すると、「失われた」記憶が回復し、健忘症状は、歯状回エングラム細胞の樹状突起棘密度の漸減と相関していたことは重要である。著者たちは、歯状回エングラム細胞とその樹状突起棘の選択的救済が、初期アルツハイマー病で失われた記憶を取り戻す、新たな治療戦略につながる可能性を示唆している。
2016年3月24日号の Nature ハイライト
有機化学:触媒を用いたオレフィンメタセシス反応
微生物海洋学:宿主を生かす海洋ファージ
がんゲノミクス:p53近接遺伝子群が腫瘍発生に関与する
惑星科学:月の極移動
人間行動学:正直は最善の策
人類学:旧石器時代の食物加工
進化生物学:中期更新世のスペインにいたヒト族はネアンデルタール人に近縁だった
神経科学:失われた記憶を取り戻す
がん免疫学:転移に対する最初の免疫応答
がん治療:発がん性非コードRNA
免疫学:アミノ酸欠乏による腸炎症の軽減