Nature ハイライト

気候科学:森林生産力の季節変動

Nature 534, 7609

大気中に放出される二酸化炭素の大半は、森林生態系によって取り込まれる。森林炭素シンクの見積もりは、日中の生態系の呼吸が夜間を上回り、光合成の光利用効率が春季以降に低下するという考えに基づいている。今回R Wehrたちは、正味の生態系交換の同位体組成に基づいて、温帯落葉樹林の生態系光合成と日中の呼吸を3年にわたって測定した。その結果、実際には日中の生態系の呼吸が夜間を下回ることが分かった。これは、生態系規模では光によって葉の呼吸が阻害されること(コック効果)を示す証拠である。著者たちは、光合成と日中の呼吸を評価する現行の方法がこの効果を考慮に入れていないため、研究を行った森林地域の生態系光合成と日中の呼吸が過大評価され、生態系の光合成の光利用効率が実際には一定であっても低下しているように算出されると主張している。今回の知見は、生物圏の生産力および炭素循環と気候の相互作用の見積もりに影響を与える可能性がある。

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