Nature ハイライト
微生物学:ヒトの微生物相から見つかった新規抗生物質
Nature 535, 7613
全身性細菌感染症の大半は、ヒト微生物相に由来する内在性病原菌によって引き起こされる。中でも日和見病原菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は、外鼻孔の開口部によく見られ、多剤耐性株が蔓延しているため、臨床的に最も重要な病原菌の1つである。病原菌の定着を許容あるいは防止する機構はいまだによく分かっていない。今回、黄色ブドウ球菌と鼻腔内ニッチを共有し、ヒトでの黄色ブドウ球菌の保菌率低下と関連付けられている共生細菌S. lugdunensisが、動物モデルで黄色ブドウ球菌の定着を防止する新規の環状ペプチド抗生物質「lugdunin」を産生することが示された。lugduninは、主要な病原菌に対して殺菌効果を示し、黄色ブドウ球菌での耐性出現の傾向がないことから、lugduninあるいはlugduninを産生する共生細菌はブドウ球菌感染を防止するのに役立つ可能性がある。
2016年7月28日号の Nature ハイライト
神経科学:ドーパミンの速い信号
微生物学:ヒトの微生物相から見つかった新規抗生物質
構造生物学:コレステロール付きSmoothenedの構造
宇宙物理学:全対流状態にある恒星内の太陽型ダイナモ
気候科学:大気が海盆のダイナミクスに及ぼす影響
神経科学:神経グリア間のクロストークによる神経保護作用
免疫学:スーパー抗HIV抗体の臨床試験結果
遺伝学:ミトコンドリアDNAは代謝や老化に影響する
分子生物学:翻訳開始前のリボソームを捕捉
エピジェネティクス:不活性化されたX染色体の構造