Nature ハイライト
遺伝学:ミトコンドリアDNAは代謝や老化に影響する
Nature 535, 7613
今回、ミトコンドリアDNA(mtDNA)の配列のばらつきの影響が、J Enríquezたちによってマウスのコンプラスティック系統を用いて調べられた。コンプラスティックなマウスは、同一の核ゲノムを持つが、ミトコンドリアDNAは異なっている。そして、ミトコンドリアゲノムは、インスリンシグナル伝達、肥満、テロメアの短縮などのさまざまな生理学的性質に強い影響を及ぼし、その結果平均生存期間に違いが出ることが明らかになった。従って、病的なものではないmtDNAバリアントでも代謝に対しては幅広い影響をもたらし、高齢期になるとその影響が大きく現れる。著者たちは、ミトコンドリアゲノムと核ゲノムとの相互作用がこの現象に影響する重要な要因かもしれないと考えている。このことは、ミトコンドリア置換療法の分野に大きく関係してきそうだ。
2016年7月28日号の Nature ハイライト
神経科学:ドーパミンの速い信号
微生物学:ヒトの微生物相から見つかった新規抗生物質
構造生物学:コレステロール付きSmoothenedの構造
宇宙物理学:全対流状態にある恒星内の太陽型ダイナモ
気候科学:大気が海盆のダイナミクスに及ぼす影響
神経科学:神経グリア間のクロストークによる神経保護作用
免疫学:スーパー抗HIV抗体の臨床試験結果
遺伝学:ミトコンドリアDNAは代謝や老化に影響する
分子生物学:翻訳開始前のリボソームを捕捉
エピジェネティクス:不活性化されたX染色体の構造