Nature ハイライト
構造生物学:コレステロール付きSmoothenedの構造
Nature 535, 7613
Gタンパク質共役受容体であるSmoothened(SMO)は、全ての動物でヘッジホッグ(Hh)シグナルを膜を越えて伝達する。SMOは発生の重要な調節因子であり、またがんタンパク質でもあって、がん研究の分野では薬剤標的となっているにもかかわらず、その活性化機構はまだ解明されていない。今回、システインに富んだ細胞外ドメイン(CRD)とリンカー、それに7ヘリックス膜貫通ドメイン(TMD)を持つSMOの3.2 Å分解能での結晶構造が解かれた。意外なことに、CRDの結合部位でSMOにコレステロール分子が結合していることが見いだされた。コレステロール結合を阻害すると予想される変異体は、SMOの本来のリガンドであるHhによるシグナル伝達活性を減弱させた。強力なアンタゴニストである抗がん剤のビスモデギブの結合は、多数のコンホメーション変化とCRD–リンカードメイン–TMD界面からのコレステロールの解離を引き起こすことも分かった。
2016年7月28日号の Nature ハイライト
神経科学:ドーパミンの速い信号
微生物学:ヒトの微生物相から見つかった新規抗生物質
構造生物学:コレステロール付きSmoothenedの構造
宇宙物理学:全対流状態にある恒星内の太陽型ダイナモ
気候科学:大気が海盆のダイナミクスに及ぼす影響
神経科学:神経グリア間のクロストークによる神経保護作用
免疫学:スーパー抗HIV抗体の臨床試験結果
遺伝学:ミトコンドリアDNAは代謝や老化に影響する
分子生物学:翻訳開始前のリボソームを捕捉
エピジェネティクス:不活性化されたX染色体の構造