Nature ハイライト
分子画像化法:「PNI」画像として捉えられた共鳴線
Nature 537, 7622
今回Y Zhengたちは、核スピンを操作する磁気共鳴画像化の能力とγ線検出器の高い感度を組み合わせた、新しい画像化・分光法を考案している。偏極核画像化法(polarized nuclear imaging;PNI)と呼ばれるこの手法では、少量の放射性トレーサーを系に導入し、次に従来型の核磁気共鳴(NMR)法によってその偏極を操作する。しかしPNIは、こうしたトレーサーに伴う弱い高周波信号を検出するのではなく、高度に偏極した核から放出される異方的なγ線を測定することによって機能し、単一のγ線を検出できるため、必要なトレーサーの量は、従来型のNMR信号検出に比べて極めて少ない。今回の新しい手法は、非生物学的な画像化と分光にすぐにでも応用できると思われ、おそらくいずれは医学診断に使われる可能性がある。
2016年9月29日号の Nature ハイライト
植物遺伝学:イネの高収量に関する遺伝学
構造生物学:細菌細胞壁の完全性のカギとなるSEDSタンパク質
構造生物学:哺乳類のレスピラソーム超複合体の構造
分子画像化法:「PNI」画像として捉えられた共鳴線
化学:単純な有機系における振動反応
地球力学:HIMU海洋島玄武岩の起源
食料安全保障:小規模農家のための作物増収
神経科学:Chd8変異マウスの自閉症様行動
神経科学:予期的渇きを引き起こす神経回路