Nature ハイライト
パターン形成:齧歯類における異なる縞模様の発生
Nature 539, 7630
哺乳類の体色パターンは、表皮のみが関係するうわべだけの特徴ではない。こうしたパターンは、その根底にある発生に関して多くの知見をもたらし、適応度に極めて重要なものとなり得る。では、それはどのような機構で生じているのか。H Hoekstraたちは今回、ヨスジクサマウス(Rhabdomys pumilio)の縞模様の発生について調べ、転写因子のALX3が色素細胞の成熟における分化速度の調節因子であることを明らかにしている。Alx3の発現は、胎仔の段階からすでにパターン化されており、最終的に生じる縞模様を予示している。Alx3はまた、メラノサイト分化のマスター調節因子であるMitfを抑制しており、これによって明色の毛が生じる。こうした背部の明色縞におけるAlx3発現の上方制御は、ヨスジクサマウスに限られた特徴ではなく、類似の背部外皮模様を独立に進化させたシマリスの明色縞でも見られることから、齧歯類のパターン形成に関する共通の基盤が明らかになった。
2016年11月24日号の Nature ハイライト
パターン形成:齧歯類における異なる縞模様の発生
植物科学:植物での細菌感染の仕組み
細胞微生物学:細菌のAgl–Gltモーターの解明
材料科学:デバイスにすぐにでも応用可能なドープ高分子半導体
材料科学:単層グラフェンが潤滑剤にならない理由
学習と記憶:生体エネルギー不全と記憶
免疫学:腸粘膜でのアポトーシスを起こした細胞のファゴサイトーシス
免疫学:ノンプロフェッショナル食細胞による組織炎症の制御
細胞生物学:Fat1カドヘリンはミトコンドリア機能を制御する
DNA修復:DNAミスマッチの認識