Nature ハイライト
植物科学:植物での細菌感染の仕組み
Nature 539, 7630
耕作地や自然生態系での植物のさまざまな病気の発生には高湿度が大きく影響するが、湿度のこのような作用の分子基盤は解明されていない。今回S Heたちは、Pseudomonas syringaeなどの植物病原菌が、葉の細胞間隙や細胞壁を含む水性の空間であるアポプラストを、保存された細菌エフェクターの分泌を介する湿度依存的なやり方で、能動的に確立することを明らかにしている。このようなエフェクターは、葉に存在している微生物相にも変化を引き起こす。これは細菌が植物に感染する際の極めて重要な段階であり、ここに関わっているエフェクター群は、高湿度下でのみ、非病原性株を毒性の病原菌に転換させることができる。免疫抑制と水性アポプラストの形成が、植物の葉での細菌による病気の発生に必要な宿主過程の最小セットであることが、今回の巧妙な遺伝学的研究により明らかになった。
2016年11月24日号の Nature ハイライト
パターン形成:齧歯類における異なる縞模様の発生
植物科学:植物での細菌感染の仕組み
細胞微生物学:細菌のAgl–Gltモーターの解明
材料科学:デバイスにすぐにでも応用可能なドープ高分子半導体
材料科学:単層グラフェンが潤滑剤にならない理由
学習と記憶:生体エネルギー不全と記憶
免疫学:腸粘膜でのアポトーシスを起こした細胞のファゴサイトーシス
免疫学:ノンプロフェッショナル食細胞による組織炎症の制御
細胞生物学:Fat1カドヘリンはミトコンドリア機能を制御する
DNA修復:DNAミスマッチの認識