Nature ハイライト
構造生物学:活性を持つRNAポリメラーゼIの構造
Nature 540, 7634
転写中の活性なRNAポリメラーゼI(Pol I)の構造はずっと得られていなかったが、今回ついに明らかになった。Pol Iは、リボソームの生合成の第一段階(リボソームDNAの転写)を触媒する酵素で、真核細胞の増殖を調節している。A Frangakisたちは、出芽酵母のPol Iの触媒活性を持つコンホメーションを、in vitroでの単一粒子低温電子顕微鏡法と、生理的条件に近い状態で細胞リボソームDNAを転写中のPol I像を観察する低温電子断層撮影法という2つの方法を使って決定した。得られた構造は、活性な酵素は活性中心が閉じたコンホメーションを採っていることを明らかにしていて、ポリメラーゼの縮まったコンホメーションが活性な状態に、広がったコンホメーションが不活性な状態に対応するという、転写伸長の一般的モデルを裏付けている。
2016年12月22日号の Nature ハイライト
ウイルス学:メタトランスクリプトミクス解析で明らかになった多様性に満ちたウイルスの世界
微生物学:ダイエット後に体重が増える仕組み
がん:転移の有力な機構
物性物理学:量子スピン液体であることが明らかになったYbMgGaO4
超分子化学:100個以上の構成要素からなる自己集合錯体
植物生物工学:化学物質の噴霧による作物の増収
心血管疾患:抗アテローム性動脈硬化作用のシグナル伝達
細胞生物学:mRNAの品質管理
構造生物学:サルモネラのインジェクチソームの詳細な構造
構造生物学:CB1カンナビノイド受容体の構造
構造生物学:活性を持つRNAポリメラーゼIの構造