Nature ハイライト
物理学:レーザー光が反物質に光を当てる
Nature 541, 7638
物質と反物質が同じようにふるまうかどうか高精度で検証すれば、観測可能な宇宙のほとんど全てが物質でできているのはなぜかという、現代物理学の最も大きい謎の1つを解く手掛かりが得られる可能性がある。そもそも、標準理論の予測では、ビッグバン後の宇宙は等量の物質と反物質でできていたはずなのである。反物質は、物質と接触すると対消滅してしまうので、反物質の生成と評価は難しい。しかし最近、CERNの反陽子減速器が進歩したため、反陽子と反水素の両方をトラップし測定することができるようになった。今回、CERNのALPHA Collaborationが、反水素の1Sから2Sへの遷移をレーザー光で励起して、分光学的評価を初めて行ったことを報告している。その遷移周波数は、水素の遷移周波数と一致した。通常の水素のスペクトルは極めて高い精度で評価されているため、反水素分光法を改良すれば、物質–反物質対称性を高い感度で検証できるだろう。
2017年1月26日号の Nature ハイライト
神経科学:反応性アストロサイトの生成と役割
ウイルス学:意思決定のためのウイルス間コミュニケーション
細胞生物学:翻訳の調節異常と腫瘍プログレッション
構造生物学:CLCファミリーイオンチャネルの構造
物理学:レーザー光が反物質に光を当てる
地球科学:気温が陸域の炭素シンクの変化を駆動する
惑星科学:地球の構成要素の同位体組成
惑星科学:地球のレイトベニアの起源
幹細胞:Hippoキナーゼとヒト乳腺細胞の運命
分子生物学:リボソーム停止時に翻訳を終結させる機構