Nature ハイライト
Cover Story:自由航行権:転移におけるがん幹細胞の重要な役割
Nature 543, 7647
表紙は、血流に乗って転移するがん幹細胞の想像図である。がん幹細胞は、腫瘍の増殖と転移性播種を支えていると考えられているが、多くの種類のがんではその実験的証拠は十分でない。今回F de Sousa e Meloたちは、大腸がんでは、可塑性によってLgr5+幹細胞が原発性腫瘍の増殖に不要となることを明らかにしている。Lgr5+細胞を除去しても、予期された退縮は見られず、腫瘍は、Lgr5−幹細胞によって維持されたのである。しかし、Lgr5+細胞の除去によって大腸がんの肝臓への転移性播種と肝臓での増殖が大きく阻害されたことから、Lgr5+がん幹細胞は、この過程に重要であり、転移性疾患を管理するための標的となる可能性が示された。
2017年3月30日号の Nature ハイライト
材料科学:結晶のエネルギー–構造–機能マップ
海洋保全:海を守るには人員が必要
神経科学:マウスと記憶を解読
がん:脂質代謝に関わる腫瘍抑制因子
惑星科学:木星と同じ軌道を逆行する小惑星
化学:光を発する鉄
環境科学:食料の国際貿易によって水が枯渇する
神経科学:脳内で音をマッピングする
腫瘍免疫学:腫瘍ネオアンチゲンが明らかに
がん:遺伝子融合タンパク質を2種類の薬の標的にする