Nature ハイライト

がん:脂質代謝に関わる腫瘍抑制因子

Nature 543, 7647

がんはほとんど全ての種類の細胞から生じ得るが、心臓や骨格筋、脳など、ある種の組織は著しい抵抗性を持つと思われる。これらの組織の細胞(例えば筋肉における筋細胞)は概して非増殖性で、非常に特殊化しており、解糖ではなく酸化的リン酸化によってエネルギーを産生する。こうした特性の全ては、がん細胞とは明らかに対照的である。そのためR Weinbergたちは今回、これらの細胞がある種の腫瘍抑制因子を持っている可能性を検討した。マウスおよびヒトで行ったin vitroおよびin vivo研究の結果から、著者たちは、ミトコンドリアタンパク質のLACTBがミトコンドリアの新規腫瘍抑制因子であることを明らかにしている。乳がんでは、LACTBはミトコンドリアでの脂質代謝と細胞分化の促進をつなぐ役割を介して、腫瘍の形質転換を阻害した。

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