Nature ハイライト
がん:脂質代謝に関わる腫瘍抑制因子
Nature 543, 7647
がんはほとんど全ての種類の細胞から生じ得るが、心臓や骨格筋、脳など、ある種の組織は著しい抵抗性を持つと思われる。これらの組織の細胞(例えば筋肉における筋細胞)は概して非増殖性で、非常に特殊化しており、解糖ではなく酸化的リン酸化によってエネルギーを産生する。こうした特性の全ては、がん細胞とは明らかに対照的である。そのためR Weinbergたちは今回、これらの細胞がある種の腫瘍抑制因子を持っている可能性を検討した。マウスおよびヒトで行ったin vitroおよびin vivo研究の結果から、著者たちは、ミトコンドリアタンパク質のLACTBがミトコンドリアの新規腫瘍抑制因子であることを明らかにしている。乳がんでは、LACTBはミトコンドリアでの脂質代謝と細胞分化の促進をつなぐ役割を介して、腫瘍の形質転換を阻害した。
2017年3月30日号の Nature ハイライト
材料科学:結晶のエネルギー–構造–機能マップ
海洋保全:海を守るには人員が必要
神経科学:マウスと記憶を解読
がん:脂質代謝に関わる腫瘍抑制因子
惑星科学:木星と同じ軌道を逆行する小惑星
化学:光を発する鉄
環境科学:食料の国際貿易によって水が枯渇する
神経科学:脳内で音をマッピングする
腫瘍免疫学:腫瘍ネオアンチゲンが明らかに
がん:遺伝子融合タンパク質を2種類の薬の標的にする