Nature ハイライト
化学:光を発する鉄
Nature 543, 7647
遷移金属錯体は、光増感剤や光触媒として用いられる他、発光デバイスにも用いられている。こうした用途の場合、遷移金属錯体は、基底状態から電荷移動状態に励起される必要があり、この電荷移動状態は、効率的な性能を確保するには一般的に寿命が長くなければならない。このため、こうした錯体に用いられている希少な高性能貴金属を、地球上に豊富に存在するもっと安価で毒性の低い金属に置き換えることが困難であった。今回P Cháberaたちは、電子的特性に優れた配位子を利用する設計戦略によって、電荷移動状態の寿命がこれまでになく長い鉄錯体が得られることを示している。この方法をさらに発展させれば、発光体や太陽エネルギーデバイスの光増感剤として使える鉄系材料が得られる可能性がある。
2017年3月30日号の Nature ハイライト
材料科学:結晶のエネルギー–構造–機能マップ
海洋保全:海を守るには人員が必要
神経科学:マウスと記憶を解読
がん:脂質代謝に関わる腫瘍抑制因子
惑星科学:木星と同じ軌道を逆行する小惑星
化学:光を発する鉄
環境科学:食料の国際貿易によって水が枯渇する
神経科学:脳内で音をマッピングする
腫瘍免疫学:腫瘍ネオアンチゲンが明らかに
がん:遺伝子融合タンパク質を2種類の薬の標的にする