Nature ハイライト
構造生物学:ヒト多剤輸送体の構造
Nature 546, 7659
ABCG2はABC(ATP-binding cassette)輸送体の1つであって、乳がん耐性タンパク質と呼ばれることもあり、多剤輸送体として働いて外部から侵入する異物分子から多くの組織を守っている。従って、ABCG2は広く使われている経口薬の有効性について重要な役割を持っている。また、この輸送体は腫瘍細胞への治療薬送達に活用できる可能性があるため、がん治療においても重要である。今回、阻害抗体と結合したヒトABCG2の構造が低温電子顕微鏡法を用いて得られた。これはヒト多剤輸送体について初めて得られた高分解能構造データである。2つのコレステロール分子が膜貫通ドメインの間にある多剤結合ポケットに結合していることが明らかになり、これは他のABC輸送体による基質認識に関する重要な情報となる。
2017年6月22日号の Nature ハイライト
気候科学:火山噴火が暴くエアロゾルと雲の相互作用
視覚:眼全体で動きを符号化する
がん:エキソソームによる膵臓でのKRAS標的化
構造生物学:ヒト多剤輸送体の構造
量子物理学:二体相互作用を観察する
病原性細菌:マンノシドで尿路感染症を減らす
発生生物学:培養皿で肝臓を育てる
神経炎症:ループスの神経症状の陰にミクログリア
がん:がん抑制におけるBAP1の新規な役割
がん:がん細胞でのアポトーシスを手助けする