Nature ハイライト

Cover Story:沸き立つ雲:界面活性剤が雲粒の形成を増強する

Nature 546, 7660

大気中の雲粒は、雲凝結核として働くエアロゾル粒子上での不均一な核生成を通して形成される。雲凝結核の自発的な活性化は、ラウール効果とケルビン効果という2つの要因の相互関係に依存している。ラウール効果では、溶質濃度が高くなるか水分活性が低下すると活性化ポテンシャルが大きくなり、ケルビン効果では、雲粒サイズが小さくなると活性化ポテンシャルが小さくなり、表面張力が低下すると大きくなる。有機分子によって生じた雲粒の表面張力の低下は、同時にラウール効果が低下するため相殺され、雲粒活性化への全体的な影響はほとんどないと考えられている。しかし、今回C O'Dowdたちは、大気中では、界面活性剤分子による表面張力の低下が、ラウール効果のいかなる変化をも上回る様式で給水へ影響を及ぼす可能性があり、結果として雲粒濃度が大きく増大することを示している。著者たちは、この結果は気候モデルにおける雲形成過程の描写に影響してくるはずだと示唆している。

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