Nature ハイライト
微生物学:模倣で広がるポックスウイルス
Nature 546, 7660
リボソームは、サブユニット構成や翻訳後修飾の変化によって、mRNA特異的な翻訳を制御する能力を持つとされる。D Walshたちは今回、ウイルスが細胞装置を奪い取って自身の複製を促進する新たな方法を明らかにしている。ポックスウイルスは宿主のリボソームを改造して、ウイルスmRNAの翻訳を増大させることが分かった。このワクシニアウイルスは、リボソームのサブユニットに含まれるRACK1のセリン/スレオニン残基をリン酸化して、負に帯電したRACK1ループを作り出す。その結果、5′非翻訳領域(UTR)に翻訳エンハンサーとして機能するアデノシン反復配列を持つポックスウイルスmRNAの翻訳が優先的に起こるようになるのである。
2017年6月29日号の Nature ハイライト
神経科学:空腹による感覚の偏り
構造生物学:準備万全状態のスプライソソームを可視化
光物理学:高速通信のためのエンタングルしたキューディット
材料科学:波を生み出す液晶膜
進化学:四肢類系統樹の基部がより複雑に
感染症:人獣共通感染症ウイルスの分布パターン
微生物学:模倣で広がるポックスウイルス
免疫学:パーキンソン病の免疫要因候補
免疫学:腸内ウイルスから防御するインフラマソーム
がん:転移の際に起こるリンパ管新生の画像化