Nature ハイライト
がんゲノミクス:非コード領域の乳がんドライバー変異
Nature 547, 7661
タンパク質コード領域のドライバー変異の全体像の特徴は、多くのがんゲノム研究から明らかになっているが、非コード領域についてはあまり調べられていない。G Getzたちは今回、360例の原発性乳がんにおいて、標的領域の非常に詳細な塩基配列解読により、変異が有意に頻発する調節領域を探索した。その結果、9つの遺伝子と関連する、有意に多くの変異が存在するプロモーターエレメントが明らかになり、また頻発性変異は、特定の塩基やその近傍に見つかったことから、特定のエレメントを標的として生じていると考えられた。これらの遺伝子のうちの3つ、FOXA1、RMRPおよびNEAT1では、プロモーター近位に頻発する変異が、遺伝子発現やタンパク質の結合親和性に影響を及ぼしていることが分かった。著者たちは、より大規模なコホートでのさらなる高深度塩基配列解読研究によって、まだ発見されていないこのようなプロモーター領域がもっと見つかるだろうと考えている。
2017年7月6日号の Nature ハイライト
古気候学:暖水の上昇によって生じる氷床の後退
気候科学:氷の消失が生物多様性のホットスポットを脅かす
がんゲノミクス:非コード領域の乳がんドライバー変異
細胞周期:染色体構造の動的変化
生物物理学:GPCRによるGタンパク質活性化を追う
エレクトロニクス:ナノテクノロジーを使用するデータ記憶への理にかなった一歩
免疫学:T細胞受容体レパートリーの決定
免疫学:抗原特異性の予測
細胞死:化学療法が誘導する細胞死