Nature ハイライト
進化学:「雑踏した堤」を解き明かす
Nature 550, 7677
チャールズ・ダーウィンは『種の起源』の結びで、「雑踏した堤(tangled bank)」というイメージを描き、生態系における動植物の絶え間ない相互作用を表現した。個々の生物がそれぞれ生存と生殖のために奮闘する中で、そうした活動は生態系全体に影響を及ぼす。それは美しいイメージだが、そうした影響の詳細の多くはまだ明らかにされていない。例えば、植物とスペシャリストの花粉媒介者との間において密接な相利共生を形成する選択圧、あるいは生態学的ネットワークの一般的な挙動についてはよく知られているが、異なるレベルで働くさまざまな選択圧がネットワーク内をどのように広がっていくのかに関しては、よく分かっていない。今回、共進化ダイナミクスとネットワーク構造とを組み合わせることにより、相利共生における選択が、相利共生の相手のみならず、雑踏した堤の全体に広がるありとあらゆる間接的な効果によっても形作られていることが明らかになった。
2017年10月26日号の Nature ハイライト
植物進化学:色を生む規則的な不規則性
炎症:皮膚細胞が追い打ちをかける
創薬:阻害物質の妨害は腫瘍に有害
物性物理学:二次元の構造のスイッチング
ナノスケールデバイス:ミリ秒の分解能で細胞の質量を測定する
進化学:「雑踏した堤」を解き明かす
疫学:マラリアのメタ解析
がん:扁平円柱境界の細胞が食道がんにつながる
生物物理学:結合相手と遭遇するホットスポット