Nature ハイライト
分子生物学:染色体構造におけるコヒーシンの役割
Nature 551, 7678
間期染色体の核の組織化は、トポロジカルドメイン(TAD)の境界やループに見られるCTCFやコヒーシンなどの構造タンパク質複合体によって仲介されると考えられている。しかし、これらのタンパク質を実験的に除去しても、染色体の組織化に及ぼす影響は限定的であることが分かっている。今回F Spitzたちは、マウスの肝臓細胞でコヒーシンを積み込む因子であるNipblを誘導によって欠失させた。染色体に結合するコヒーシンがなくなると、TADやTAD関連ループは消失するが、ゲノムの区画への隔離は保存され、転写に影響が見られたのは一部の遺伝子のみであった。TADの消失によって、局所的な転写活性を反映する、より微細な区画構造が明らかになった。従って、ゲノムの組織化は、コヒーシンの必要性が異なる2つの別々の機構によって生じていると考えられる。
2017年11月2日号の Nature ハイライト
進化学:6万世代にわたる細菌の進化
分子生物学:染色体構造におけるコヒーシンの役割
構造生物学:フィコビリソームに光を当てる
天文学:中性子星の衝突から得られたハッブル定数
素粒子物理学:チャームクォークはエネルギッシュに入れ替わる
寄生虫学:寄生性マラリア原虫における有性生殖への拘束
幹細胞:繊維芽細胞のスプライシング因子
代謝:乳酸はクエン酸回路の燃料となる
システム生物学:増殖中の微生物をモデル化する
エピジェネティクス:春に向けた種子のリセット