Nature ハイライト
進化発生生物学:神経系の収斂進化
Nature 553, 7686
左右相称動物(左右相称で明確な前端と後端がある動物群)は、正中線に集中した腹側神経索を持つ単一の共通祖先から進化したと考えられることが多い。ショウジョウバエや環形動物、ヒトといった多種多様な動物で体軸に沿った分子発現パターンが共通して見られることが、このシナリオを裏付けている。今回A Hejnolたちは、珍渦虫(左右相称動物の基部に位置する)やさまざまな冠輪動物(環形動物、腕足動物、輪形動物など)を含む幅広い種類の動物について、神経外胚葉の中外側のパターン形成を調べた。その結果、中枢神経系の最終的な解剖学的構造はパターン形成系とは無関係なことが分かった。著者たちは、類似した中枢神経系の構造が左右相称動物の中で何度も独立に生じた、つまりこれが収斂進化の例であると結論付けている。
2018年1月4日号の Nature ハイライト
気候科学:過去の海水温を再構築する
進化発生生物学:神経系の収斂進化
天文学:初期宇宙の大質量銀河
量子物理学:第四の次元に拡張される量子ホール
材料科学:2D多接合ヘテロ構造体のワンポット合成
ウイルス学:SIVの霊長類モデルのゲノム
植物科学:寄生植物におけるmiRNAの働き
がん:がん細胞は老化を回避する
構造生物学:グルカゴン受容体が作る複合体の構造
構造生物学:補体受容体の構造