Nature ハイライト
ゲノミクス:パン酵母のゲノム進化
Nature 556, 7701
パン酵母として知られる出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)は、生物学研究における古典的なモデル生物である。P Winckerたちは今回、生態学的起源および地理的起源が多様になるように採取した出芽酵母の1011の天然分離株について、ゲノム塩基配列解読、de novoアセンブリー、表現型解析を行った結果について報告している。個体群構造の解析から、出芽酵母が単一の「出中国」起源を持ち、その後数回の独立した栽培化事象を経たことが裏付けられた。また、出芽酵母のパンゲノム(種として保有する全遺伝子)の構築に加え、個体群全体にわたる遺伝的多様性、進化、選択の特徴も明らかになった。さらに著者たちは、今回の集団ゲノミクス情報資源を用いて形質の遺伝率や関連を検討することで、この情報資源の有用性を実証し、出芽酵母における今後のゲノム規模の関連研究の基盤を提供している。
2018年4月19日号の Nature ハイライト
核物理学:原子核時計の中の歯車
神経科学:免疫記憶が脳疾患を変化させる
ゲノミクス:パン酵母のゲノム進化
工学:論理デバイスとメモリーデバイスをつなぐ光
ナノスケール材料:多種類の二次元金属カルコゲニドを作る
進化学:大きくなり過ぎた生殖器で危機に瀕した貝形虫類
神経科学:フェレットでより良い脳発生モデルを作る
細胞生物学:Pelotaタンパク質がリボソームを救済する
構造生物学:INO80によるクロマチンリモデリングを見る