Nature ハイライト
細胞生物学:アクチンが握るDNA修復のカギ
Nature 559, 7712
DNA二本鎖切断の相同組換えによる修復では、5′鎖が著しく分解されている末端が観察されており、こうした末端は移動度が非常に高く、ショウジョウバエ(Drosophila)では核内の周辺領域に局在している。今回、I ChioloとJ Gautierの研究グループがそれぞれ、核内のアクチンの重合によってこうした移動が引き起こされる仕組みについて報告している。Gautierたちは、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)の無細胞抽出物と哺乳類細胞を用いて、アクチンフィラメントが細胞周期のG2期における効率的な相同組換えに必要であることを明らかにしており、Chioloたちはショウジョウバエで、ヘテロクロマチンの切断部位の再局在化もSmc5/6を介したミオシンの修復部位への誘導に依存していることを示している。対照的に、二本鎖切断の相同組換えに依存しない過程、つまり非相同末端結合による修復では、アクチンは影響を及ぼさないことが分かった。両グループは、切断部位を修復に必要な因子群を含む核区画へと移動させるには、アクチン重合体が必要であると提案している。
2018年7月5日号の Nature ハイライト
細胞生物学:アクチンが握るDNA修復のカギ
天文学:また1つ検証をパスした一般相対性理論
化学:二重触媒法によるsp3 C–Nアルキル化
地球科学:侵食速度と寒冷な気候の関連性の再調査
神経科学:ニューロンを作ってストレスと戦う
発生生物学:皮下脂肪で脂肪生成を制御する細胞
寄生虫感染症:腸の損傷後に起こる胎仔の発生プログラムの再活性化
炎症:免疫麻痺におけるマイクロRNAの役割
細胞生物学:対立する酵素が協働するとき
がん治療:急性骨髄性白血病で獲得抵抗性が生じる機構
構造生物学:三日熱マラリア原虫の侵入複合体の構造