Nature ハイライト
Cover Story:解析して判断:「分子の手書き文字」をパターン認識するDNAベースのニューラルネットワーク
Nature 559, 7714
化学勾配に従う細菌でも複雑なにおいを選別するヒトでも、分子パターンを認識する能力は生物の重要な属性である。DNAベースのニューラルネットワークは分子コンピューティングで同じタスクを実行できるが、これまでは4ビットでできたわずか4通りのパターンに限定されていた。今回L Qian とK Cherryは、これを100ビットからなる9通りに増やし、10 × 10ピクセルの格子に書かれた1~9の数字を正確に識別できるシステムを実証している。このネットワークは、「勝者総取り」の競争戦略を用いて、その出力を洗練させ、何の数字を見ているかを決める。与えた100ビットのパターンのうち30ビットを反転させても(手書き文字のばらつきに似ていても)、ネットワークは元のパターンを正確に「思い出し」、数字を認識する。この結果は、分子計算回路が記憶に似た何かに基づいて、非常に複雑で雑音の多い情報を分類できることを示唆している。
2018年7月19日号の Nature ハイライト
撮像技術:二次元材料のための高分解能電子顕微鏡法
心血管生物学:静脈から動脈への細胞運命切り換えの研究
医学研究:IL-23が前立腺がんを増悪させる
化学合成:ロボットが機械学習で新しい化学反応を発見
気候科学:始新世において同時に寒冷化した熱帯と極域の海洋
気候科学:海洋による熱吸収の低下によって生じる全球表面の急速な温暖化
がん遺伝学:急性骨髄性白血病のリスクを予測
分子生物学:PINK1とparkinの関係についての最新事情
分子生物学:プレスプライソソームの集合