Nature ハイライト
分子生物学:PINK1とparkinの関係についての最新事情
Nature 559, 7714
parkinとPINK1は重要な酵素だが、それは損傷を受けたミトコンドリアのマイトファジー過程による除去を仲介する役割を担っているからだけではなく、それらの変異が常染色体劣性(潜性)若年性パーキンソン症候群に関連しているからである。分子レベルでは、parkinは自己阻害状態にあり、その活性化にはPINK1の活性が必要である。PINK1はparkinのUbl(ubiquitin-like)ドメインとユビキチンタンパク質の両方をリン酸化し、これによってparkinはユビキチンと結合できるようになる。この分子経路についての構造的な手掛かりはいくつか得られているものの、parkinのリン酸化がその活性化につながる仕組みはまだ分かっていなかった。今回、D Komanderたちは完全長ヒトparkinの分解能1.8 Åでの最新の結晶構造を報告し、これによって活性化の仕組みについての情報がもたらされた。この構造を質量分析のデータと組み合わせたことで、活性化過程に伴ってドメインの再配列が起こることが明らかになった。意外にも、parkinのUblドメインと他のドメインの間にある保存されたリンカー領域が活性化エレメントとして働き、常染色体劣性若年性パーキンソン症候群の患者では、このエレメントの機能が影響を受けていることが分かったのである。
2018年7月19日号の Nature ハイライト
撮像技術:二次元材料のための高分解能電子顕微鏡法
心血管生物学:静脈から動脈への細胞運命切り換えの研究
医学研究:IL-23が前立腺がんを増悪させる
化学合成:ロボットが機械学習で新しい化学反応を発見
気候科学:始新世において同時に寒冷化した熱帯と極域の海洋
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がん遺伝学:急性骨髄性白血病のリスクを予測
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分子生物学:プレスプライソソームの集合