Nature ハイライト
生態学:暖かい春の影響
Nature 562, 7725
気候変動によって植物の生物季節のサイクルが変化し、春の始まりが早くなって秋の終わりが遅くなることにより、北方生態系の生育期間が長くなっている。さらに、より温暖で早く始まる春が生育期後半の植物生産力に及ぼす時間遅れの影響を示す証拠がいくつか存在する。しかし、そうした時間遅れの影響の方向性と地理的分布は、まだほとんど調べられていない。今回W Buermannたちは、北方生態系全域にわたって温暖な春に対する時間遅れを伴う生産力の応答が広範囲に見られ、その特徴が地域によってさまざまであり、好影響よりも悪影響の面積の割合が大きいことを見いだしている。時間遅れの影響の地理的分布と方向性の大半は、標高と降水の季節パターンによって決定されることが分かった。今回の結果は、北方の生態系は主に温度と太陽放射に制約されていると考えられるにもかかわらず、多くの北方生態系では、より温暖な春が生育期の生態系生産力に及ぼす好影響の大半が、季節的な水不足の積み重ねによって減少することを示唆している。
2018年10月4日号の Nature ハイライト
気候変動生態学:温暖化した世界のツンドラでは植物の高さが増加する
神経免疫学:ナルコレプシーの病因におけるヒポクレチン特異的なCD4およびCD8細胞
医学研究:原発性肝臓がんの発生
生化学:転写因子とヌクレオソームとの多様な相互作用
フォトニクスデバイス:通信帯域において例外点周りを回る
応用光学:ニオブ酸リチウム電気光学変調器を進歩させる
生態学:暖かい春の影響
神経科学:線虫におけるDEETの作用機構
神経科学:ここはどこ?
メカノバイオロジー:灌流と機械的刺激が肝臓でのアンジオクラインシグナル伝達の引き金を引く
微生物学:グラム陽性細菌に見られる独特な細胞外電子伝達