Nature ハイライト
構造生物学:MBOATの1つの構造
Nature 562, 7726
膜結合型O-アシルトランスフェラーゼ(MBOAT)は、7000を超える内在性膜貫通型酵素からなるスーパーファミリーで、全ての生物界で見いだされる。脊椎動物では、MBOATは脂質生合成やリン脂質リモデリング、また分泌タンパク質の重要な脂質修飾を担っており、細菌では細胞表面分子の修飾を行っている。MBOATはがんや繊維症、糖尿病、肥満や心血管疾患の重要な薬剤標的であるにもかかわらず、このクラスの酵素の構造情報は得られていない。今回、グラム陽性細菌であるサーモフィルス菌(Streptococcus thermophilus)のMBOATであるDltBについて、単独で膜に結合した状態とD-アラニル基供与タンパク質DltCと複合体を形成した状態の両方の3.3 Å分解能での結晶構造が報告されている。構造解析、部位特異的変異誘発、それに脊椎動物MBOATとの比較から、この重要な酵素ファミリーの作用機構に対する複数の知見が初めて得られた。
2018年10月11日号の Nature ハイライト
がん:BRCA1バリアントを分類する
発生生物学:内皮細胞の補完的な供給源
天文学:ここにもあそこにも、至る所にあるライマンα放射
計算機科学:滑空を学習する
量子物理学:もう1つの種類の電子雑音
オプトエレクトロニクス:ペロブスカイトLEDをディスプレイや照明に
遺伝学:まれな神経発達障害のリスクはありふれた遺伝的変動の影響を受ける
発生生物学:in vitroでのHoxの共線性
生化学:リングヌクレアーゼはIII型CRISPRエフェクターを抑制する
分子生物学:scMNase-seq法を使って明らかになったヌクレオソームポジショニングの状況とクロマチンへの到達性
構造生物学:MBOATの1つの構造