Nature ハイライト
Cover Story:多様性の正体:細胞アトラスがもたらす大脳皮質のニューロンの構造と機能に関する知見
Nature 563, 7729
今週号の2報の論文では、脳のニューロンに見られる著しい多様性が調べられている。一方の論文ではB Tasicたちが、マウスの視覚野と運動野の全域から採取した2万3822個の細胞に、高深度単一細胞RNA塩基配列解読法を用いて、遺伝子発現プロファイルに基づく133の細胞タイプを明らかにしている。彼らは、ほぼ全ての種類の抑制性ニューロンは、視覚野と運動野で共通していたのに対して、大半の種類の興奮性ニューロンは、視覚野か運動野のいずれかに特異的であることを見いだした。もう一方の論文ではK SvobodaとM Economoたちが、興奮性ニューロンの特殊な亜集団である錐体路ニューロン(表紙の画像)に対応するこうした細胞タイプのいくつかが、遺伝子発現以外の点で異なっていることを実証している。彼らは、錐体路ニューロンの細胞タイプが、それぞれ独特な一連の脳領野と結合しており、運動の準備と開始に関与する特異的シグナルを伝達していることを示した。まとめると、こうした研究結果は、神経機能の複雑な細部を明らかにするそうしたデータセットの能力を実証している。
2018年11月1日号の Nature ハイライト
量子物理学:運動を測定し制御する
人間行動学:AIが抱える道徳的ジレンマ
神経科学:脊髄損傷後の歩行の回復
電子工学:思ったより簡単な高周波数データリンク上での盗聴
化学:塩基を用いない鈴木–宮浦カップリング
神経科学:運動を計画中の脳
神経科学:師匠に学ぶ
微生物学:ブルース・トリパノソーマの抗原変異の制御
生物学的手法:神経系統に関わる胚盤胞補完法は前脳器官形成研究を可能にする
構造生物学:エボラウイルス核タンパク質–RNA複合体のクライオ電子顕微鏡構造